2012年6月1日金曜日

『*[刑訴]』の検索結果 - あにすたで


「*[刑訴]」の検索結果を表示しています

2007-11-30 00:58

強制採尿について調べてみました。

やられるの絶対嫌です。麻薬使いません。

使ったとしても自白します、許してください。

…でも、カテーテルってみたことない。

強制採尿の許容性については、次の判例で結論が出ています。

(最判昭55・10・23)

尿を任意に提出しない被疑者に対し、強制力を用いてその身体から尿を採取することは、身体に対する侵入行為であるとともに屈辱感等の精神的打撃を与える行為であるが、右採尿につき通常用いられるカテーテルを尿道に挿入して尿を採取する方法は、被採取者に対しある程度の肉体的不快感ないし抵抗感を与えるとはいえ、医師等これに習熟した技能者によつて適切に行われる限り、身体上ないし健康上格別の障害をもたらす危険性は比較的乏しく、仮に障害を起こすことがあつても軽微なものにすぎないと考えられるし、また、右強制採尿が被疑者に与える屈辱感等の精神的打撃は、検証の方法としての身体検査においても同程度の場合がありうるのであるから、被疑者に対する右のような方法による強制採尿が捜査手続上の強� ��処分として絶対に許されないとすべき理由はなく、被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続を経てこれを行うことも許されてしかるべきであり、ただ、その実施にあたつては、被疑者の身体の安全とその人格の保護のため十分な配慮が施されるべきものと解するのが相当である。

 そこで、右の適切な法律上の手続について考えるのに、体内に存在する尿を犯罪の証拠物として強制的に採取する行為は捜索・差押の性質を有するものとみるべきであるから、捜査機関がこれを実施するには捜索差押令状を必要とすると解すべきである。ただし、右行為は人権の侵害にわたるおそれがある点では、一般の捜索・差押と異なり、検証の方法としての身体検査と共通の性質を有しているので、身体検査令状に関する刑訴法二一八条五項が右捜索差押令状に準用されるべきであつて、令状の記載要件として強制採尿は医師をして医学的に相当と認められる方法により行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠であると解さなければならない。

強制採尿のための捜索・差押許可状による連行の可否についても判例が出ています。

(最決平6・9・16)

身柄を拘束されていない被疑者を採尿場所へ任意に同行することが事実上不可能であると認められる場合には、強制採尿令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができ、その際、必要最小限度の有形力を行使することができるものと解するのが相当である。けだし、そのように解しないと、強制採尿令状の目的を達することができないだけでなく、このような場合に右令状を発付する裁判官は、連行の当否を含めて審査し、右令状を発付したものとみられるからである。その場合、右令状に、被疑者を採尿に適する最寄りの場所まで連行することを許可する旨を記載することができることはもとより、被疑者の所在場所が特定しているため、そこから最も近い特定の採尿場所を指定して、そこまで連行� ��ることを許可する旨を記載することができることも、明らかである。

ただ、222条1項、111条1項も「必要な処分」としてゆるされるとする説も有力です。

令状執行により連行が可能になれば、それに加えてさらに「必要な処分」が可能になってしまうことを懸念したものです。

ちなみにこの判例は、任意捜査(197条)に関する判例としても有名です。

その後被告人の身体に対する捜索差押許可状の執行が開始されるまでの間、警察官が被告人による運転を阻止し、約六時間半以上も被告人を本件現場に留め置いた措置は、当初は前記のとおり適法性を有しており、被告人の覚せい剤使用の嫌疑が濃厚になっていたことを考慮しても、被告人に対する任意同行を求めるための説得行為としてはその限度を超え、被告人の移動の自由を長時間にわたり奪った点において、任意捜査として許容される範囲を逸脱したものとして違法といわざるを得ない。

 しかし、右職務質問の過程においては、警察官が行使した有形力は、エンジンキーを取り上げてこれを返還せず、あるいは、エンジンキーを持った被告人が車に乗り込むのを阻止した程度であって、さほど強いものでなく、被告人に運転させないため必要最小限度の範囲にとどまるものといえる。また、路面が積雪により滑りやすぐ、被告人自身、覚せい剤中毒をうかがわせる異常な言動を繰り返していたのに、被告人があくまで磐越自動車道で宮城方面に向かおうとしていたのであるから、任意捜査の面だけでなく、交通危険の防止という交通警察の面からも、被告人の運転を阻止する必要性が高かったというべきである。しかも、被告人が、自ら運転することに固執して、他の方法による任意同行をかたくなに拒否するという態� ��を取り続けたことを考慮すると、結果的に警察官による説得が長時間に及んだのもやむを得なかった面があるということができ、右のような状況からみて、警察官に当初から違法な留め置きをする意図があったものとは認められない。これら諸般の事情を総合してみると、前記のとおり、警察官が、早期に令状を請求することなく長時間にわたり被告人を本件現場に留め置いた措置は違法であるといわざるを得ないが、その違法の程度はいまだ令状主義の精神を没却するような重大なものとはいえない。

ほかにも、中毒症状で錯乱している者からの強制採尿についての判例もあります。

(最決平3・7・16)

被告人は、錯乱状態に陥っていて任意の尿の提出が期待できない状況にあったものと認められるのであって、本件被疑事実の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らせば、本件強制採尿は、犯罪の捜査上真にやむを得ない場合に実施されたものということができるから、右手続に違法はないとした原判断は正当である。

医師の指示を受けた看護師による強制採尿の許容性についても、判例があります。

(大阪高判8・4・5)

看護婦がカテーテルによる尿採取に習熟していたこと、本件当時、看護師が医師の指示を受け採尿を実施し、その際医師は採尿現場には立ち会わなかったが、「要急の事態に備え、右処置室の廊下を隔てた向かい側の看護婦詰所で待機し臨機対応をなしうる態勢にあった」ことを挙げて、これを「本件強制採尿は、前記の本件差押令状記載の条件にいう医師による医学的に相当と認められる方法により採尿がなされた」としている。

これも判例多すぎです。

強制採尿はまだ条文が少ないですが、強制採血とかの条文のやつが嫌いです。

2007-11-26 00:40

接見指定(39条3項)について調べてみました。

刑事訴訟法39条

1項:身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第31条第2項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

2項:前項の接見又は授受については、法令(裁判所の規則を含む。以下同じ。)で、被告人又は被疑者の逃亡、罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができる。

3項:検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第1項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。

接見指定は弁護人に負担を課す一般指定制度は認められません。

できるだけすみやかに接見させるよう、事件通知制度がとられます。

(最判平3・5・10)

一 弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(以下「弁護人等」という。)と被疑者との接見交通権が憲法上の保障に由来するものであることにかんがみれば、刑訴法三九条三項の規定による捜査機関のする接見又は書類若しくは物の授受の日時、場所及び時間の指定は、あくまで必要やむを得ない例外的措置であって、これにより被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限することが許されないことはいうまでもない。したがって、捜査機関は、弁護人等から被疑者との接見等の申出があったときは、原則としていつでも接見等の機会を与えなければならないのであり、これを認めると捜査の中断による支障が顕著な場合には、弁護人等と協議してできる限り速やかな接見等のための日時� ��を指定し、被疑者が弁護人等と防御の準備をすることができるような措置を採るべきである。

 右にいう捜査の中断による支障が顕著な場合には、捜査機関が、弁護人等の接見等の申出を受けた時に、現に被疑者を取調べ中であるとか、実況見分、検証等に立ち会わせているというような場合だけでなく、間近い時に右取調べ等をする確実な予定があって、弁護人等の必要とする接見等を認めたのでは、右取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合も含むものと解すべきである。

 捜査機関が右日時等を指定する際いかなる方法を採るかは、その合理的裁量にゆだねられているものと解すべきであるから、電話などの口頭による指定をすることはもちろん、弁護人等に対する書面(いわゆる接見指定書)の交付による方法も許されるものというべきであるが、その方法が著しく合理性を欠き、弁護人等と被疑者との迅速かつ円滑な接見交通が害される結果になるようなときには、それは違法なものとして許されないことはいうまでもない。


shanksville 、 PAはどのような郡である

二 A検察官は、魚津警察署の警察官から電話による指示を求められた際、同警察官に被上告

人側の希望する接見等の日時等を聴取させるなどして同人との時間調整の必要を判断し、また必要と判断したときでも弁護人等の迅速かつ円滑な接見交通を害しないような方法により接見等の日時等を指定する義務があるところ、こうした点で被上告人と協議する姿勢を示すことなく、ただ一方的に、当時往復に約二時間を要するほど離れている富山地方検察庁に接見指定書を取りに来させてほしい旨を伝言して右接見等の日時等を指定しようとせず、かつ、刑訴法三九条一項により弁護人等に認められている被疑者に対する物の授受について裁判所の接見禁止決定の解除決定を得ない限り認められないとしたものであるから、同検察官の措置は、その指定の方法等において著しく合理性を欠く違法なものである。

接見指定は捜査の必要性と接見交通権の調和を図ったもので、違憲ではないことが確認されています。

ちょっと長い判例ですが、この判例だけで、ほぼ接見指定の要点がカバーできます。

(最判平11・3・24)

一  憲法三四条前段は、「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。」と定める。この弁護人に依頼する権利は、身体の拘束を受けている被疑者が、拘束の原因となっている嫌疑を晴らしたり、人身の自由を回復するための手段を講じたりするなど自己の自由と権利を守るため弁護人から援助を受けられるようにすることを目的とするものである。したがって、右規定は、単に被疑者が弁護人を選任することを官憲が妨害してはならないというにとどまるものではなく、被疑者に対し、弁護人を選任した上で、弁護人に相談し、その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しているものと解すべきである。

 刑訴法三九条一項が、「身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。」として、被疑者と弁護人等との接見交通権を規定しているのは、憲法三四条の右の趣旨にのっとり、身体の拘束を受けている被疑者が弁護人等と相談し、その助言を受けるなど弁護人等から援助を受ける機会を確保する目的で設けられたものであり、その意味で、刑訴法の右規定は、憲法の保障に由来するものであるということができる。

二 もっとも、憲法は、刑罰権の発動ないし刑罰権発動のための捜査権の行使が国家の権能であることを当然の前提とするものであるから、被疑者と弁護人等との接見交通権が憲法の保障に由来するからといって、これが刑罰権ないし捜査権に絶対的に優先するような性質のものということはできない。そして、捜査権を行使するためには、身体を拘束して被疑者を取り調べる必要が生ずることもあるが、憲法はこのような取調べを否定するものではないから、接見交通権の行使と捜査権の行使との間に合理的な調整を図らなければならない。憲法三四条は、身体の拘束を受けている被疑者に対して弁護人から援助を受ける機会を持つことを保障するという趣旨が実質的に損なわれない限りにおいて、法律に右の調整の規定を設けるこ� ��を否定するものではないというべきである。

三 ところで、刑訴法三九条は、前記のように一項において接見交通権を規定する一方、三項本文において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。」と規定し、接見交通権の行使につき捜査機関が制限を加えることを認めている。この規定は、刑訴法において身体の拘束を受けている被疑者を取り調べることが認められていること(一九八条一項)、被疑者の身体の拘束については刑訴法上最大でも二三日間(内乱罪等に当たる事件については二八日間)という厳格な時間的制約があること(二〇三条から二〇五条まで、二〇八条、二〇八条の� ��参照)などにかんがみ、被疑者の取調べ等の捜査の必要と接見交通権の行使との調整を図る趣旨で置かれたものである。そして、刑訴法三九条三項ただし書は、「但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。」と規定し、捜査機関のする右の接見等の日時等の指定は飽くまで必要やむを得ない例外的措置であって、被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限することは許されない旨を明らかにしている。

 このような刑訴法三九条の立法趣旨、内容に照らすと、捜査機関は、弁護人等から被疑者との接見等の申出があったときは、原則としていつでも接見等の機会を与えなければならないのであり、同条三項本文にいう「捜査のため必要があるとき」とは、右接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られ、右要件が具備され、接見等の日時等の指定をする場合には、捜査機関は、弁護人等と協議してできる限り速やかな接見等のための日時等を指定し、被疑者が弁護人等と防御の準備をすることができるような措置を採らなければならないものと解すべきである。そして、弁護人等から接見等の申出を受けた時に、捜査機関が現に被疑者を取調べ中である場合や実況見分、検証等に立ち会わせている場� ��、また、間近い時に右取調べ等をする確実な予定があって、弁護人等の申出に沿った接見等を認めたのでは、右取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合などは、原則として右にいう取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に当たると解すべきである。

 なお、所論は、憲法三八条一項が何人も自己に不利益な供述を強要されない旨を定めていることを根拠に、逮捕、勾留中の被疑者には捜査機関による取調べを受忍する義務はなく、刑訴法一九八条一項ただし書の規定は、それが逮捕、勾留中の被疑者に対し取調べ受忍義務を定めているとすると違憲であって、被疑者が望むならいつでも取調べを中断しなければならないから、被疑者の取調べは接見交通権の行使を制限する理由にはおよそならないという。しかし、身体の拘束を受けている被疑者に取調べのために出頭し、滞留する義務があると解することが、直ちに被疑者からその意思に反して供述することを拒否する自由を奪うことを意味するものでないことは明らかであるから、この点についての所論は、前提を欠き、採用す� ��ことができない。

四 以上のとおり、刑訴法は、身体の拘束を受けている被疑者を取り調べることを認めているが、被疑者の身体の拘束を最大でも二三日間(又は二八日間)に制限しているのであり、被疑者の取調べ等の捜査の必要と接見交通権の行使との調整を図る必要があるところ、(一) 刑訴法三九条三項本文の予定している接見等の制限は、弁護人等からされた接見等の申出を全面的に拒むことを許すものではなく、単に接見等の日時を弁護人等の申出とは別の日時とするか、接見等の時間を申出より短縮させることができるものにすぎず、同項が接見交通権を制約する程度は低いというべきである。また、前記のとおり、(二) 捜査機関において接見等の指定ができるのは、弁護人等から接見等の申出を受けた時に現に捜査機関において� ��疑者を取調べ中である場合などのように、接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られ、しかも、(三) 右要件を具備する場合には、捜査機関は、弁護人等と協議してできる限り速やかな接見等のための日時等を指定し、被疑者が弁護人等と防御の準備をすることができるような措置を採らなければならないのである。このような点からみれば、刑訴法三九条三項本文の規定は、憲法三四条前段の弁護人依頼権の保障の趣旨を実質的に損なうものではないというべきである。

 なお、刑訴法三九条三項本文が被疑者側と対立する関係にある捜査機関に接見等の指定の権限を付与している点も、刑訴法四三〇条一項及び二項が、捜査機関のした三九条三項の処分に不服がある者は、裁判所にその処分の取消し又は変更を請求することができる旨を定め、捜査機関のする接見等の制限に対し、簡易迅速な司法審査の道を開いていることを考慮すると、そのことによって三九条三項本文が違憲であるということはできない。

初回の接見は、被疑者にとって特に重要なので、短時間でも認めるべきとされています。

(最判平12・6・13)

一 弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者から被疑者の逮捕直後に初回の接見の申出を受けた捜査機関は、即時又は近接した時点での接見を認めても接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生じるのを避けることが可能なときは、留置施設の管理運営上支障があるなど特段の事情のない限り、被疑者の引致後直ちに行うべきものとされている手続及びそれに引き続く指紋採取、写真撮影等所要の手続を終えた後、たとい比較的短時間であっても、時間を指定した上で即時又は近接した時点での接見を認める措置を採るべきである。


罪を認める

二 接見の日時等の指定をする権限を有する司法警察職員が、逮捕された被疑者の依頼により弁護人となろうとする者として逮捕直後に警察署に赴いた弁護士から初回の接見の申出を受けたのに対し、接見申出があってから約一時間一〇分が経過した時点に至って、警察署前に待機していた弁護士に対して接見の日時を翌日に指定した措置は、即時又は近接した時点での接見を認めても接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生じるのを避けることが可能であるにもかかわらず、犯罪事実の要旨の告知等引致後直ちに行うべきものとされている手続及びそれに引き続く写真撮影等所要の手続が終了した後も弁護士と協議することなく取調べを継続し、その後被疑者の夕食のために取調べが中断されたのに、夕食前の取調べの終了を� ��めたり、夕食後の取調べの開始を遅らせたりして接見させることをしなかったなど判示の事情の下においては、国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たる。

被告人の弁護人には、接見指定をすることが認められませんが(条文参照)、被疑者としても取調べられている場合が問題となります。

ダブスクでは、もっと厳しい要件でのみ認められるように習いました。

1.余罪の事案の重大性_.余罪捜査のための被告人の身柄の緊急の必要性ヽ.同時捜査が困難であった事情の存在等を考慮して、接見指定の可否を検討します。

(最決昭55・4・28)

同一人につき被告事件の勾留とその余罪である被疑事件の逮捕、勾留とが競合している場合、検察官等は、被告事件について防禦権の不当な制限にわたらない限り、刑訴法三九条三項の接見等の指定権を行使することができる。

(最決昭41・7・26)「千葉大チフス事件」

一 公訴の提起後は、余罪について捜査の必要がある場合であつても、検察官、検察事務官または司法警察職員は、被告事件の弁護人または弁護人となろうとする者に対し、刑訴法第三九条第三項の指定権を行使することができない。

二 右の場合、検察官等が、そのような権限があるものと誤解して、刑訴法第三九条第一項の接見等を拒否した場合、これに不服がある者は、同第四三〇条により準抗告を申し立てることができる。

任意同行中であっても、接見交通権は重要なので、認められます。判例は下級審ですが。

(福岡高判平5・11・16)

 被害者の弁護人または弁護人を選任できることができる者の依頼により弁護人となろうとするもの(以下「弁護人等」という)は、当然のことながら、その弁護活動の一環として、何時でも自由に被害者に面会することができる。その理は、被疑者が任意同行に引き続いて捜査機関から取調べを受けている場合においても、基本的に変わるところはないと解するのが相当であるが、弁護人等は、任意取調べ中の被疑者と直接連絡を取ることができないから、取調べに当たる捜査機関としては、弁護人等から右被疑者に対する面会の申出があった場合には、弁護人等と面会時間の調節が整うなど特段の事情がない限り、取調べを中断して、その旨を被疑者に伝え、被疑者が面会を希望する時は、その実現のための措置をとるべきである。� �意捜査の性格上、捜査機関が、社会通念上相当と認められる限度を超えて、被疑者に対する右伝達を遅らせまたは伝達後被疑者の行動の自由に制約を加えたときは、当該捜査機関の行為は、弁護人等の弁護活動を阻害するものとして違法と評価され…る。

接見交通権は憲法34条や、弁護人選任権(刑訴法30条)との関係も重要です。

判例がたくさんあるし、問題のパターンも多いので、大変です。

2007-11-18 00:46

ロースクール受験のために司法試験の過去問をやってみたりしています。

警察官が、暴力団組員同士の乱闘事件による傷害の準現行犯人として甲を公道上で逮捕した後、自動車で約3キロメートル離れた警察署に連行し、逮捕から約1時間後に同警察署において、甲の身体及びその携帯していたバッグを捜索することは許されるか。

(平成9年第1問)

一.本問では、甲の準現行犯逮捕(212条2項)を前提として、逮捕に伴う無令状捜索(220条1項2号ヽ項)がなされているため、まず、当該準現行犯逮捕が適法になされているかを検討する。

1.準現行犯とは_12条2項各号の1つにあたり、罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる者をいい、現行犯同様無令状逮捕が認められる(212条2項)。

 この点、憲法33条は、無令状による逮捕として現行犯逮捕のみを規定していることから、準現行犯逮捕の合憲性につき問題となるも、「犯罪を行なってから間がない」という要件を厳格に解釈、適用する限りでは人権侵害のおそれがないため、合憲と解する。

 したがって、令状主義(憲法33条)の例外たる準現行犯逮捕が許容される要件としては、"蛤甬擇喩反佑量税鮴、∋間的接着性・場所的接着性、時間的接着性の明白性、およびぃ横隠仮鬘温牾胴罎乏催する事実の存在の逮捕者による認識が必要であると解する。

2.以上の要件を充たした場合、適法な逮捕といえ、それを前提に無令状捜索が可能となる。

二.では、逮捕に伴う無令状捜索が認められる場合でもヽキロメートル離れた警察署で、逮捕から約1時間後に捜索することは許されるか。220条1項2号ヽ項は「逮捕する場合」に「逮捕の現場」で無令状の捜索・差押ができるとしているので、この意義が問題となる。

1.思うに、憲法35条が原則として捜索・差押えが令状に基づかなければならないとしている趣旨は、捜査機関の権限が濫用され不当なプライバシー侵害が行われることを、第三者機関たる裁判所に事前に審査させることにより、可及的に防止するためである。

 そうだとすれば、例外的に無令状捜索・差押が許される場合も厳格に解すべきである。

 したがって、被逮捕者の抵抗を抑圧し、逃亡を防止し、同時に現場の証拠の破壊を防止する緊急の必要性がある場合に限り、令状主義の例外として認められると解する(緊急処分説)。

 すなわち、「逮捕する場合」とは、逮捕の直前直後、「逮捕の現場」とは被疑者の身辺、すなわち身体又はその直接の支配下にある場所を原則として意味すると解すべきである。

 これを本問についてみるに、本問の捜索は、逮捕から約1時間も後に行われており、しかも逮捕の場所から約3キロメートルも離れた警察署は、被逮捕者甲の身体又はその直接の支配下にある場所とはいえないため、「逮捕する場合」「逮捕の現場」と言えないとも思える。

2.もっとも、身体という「現場」すなわち、被疑者の支配が及ぶ範囲には実質的な変更はないので、若干場所を移動した後に捜索・差押をすることも許される余地がある。

 また、本問のように公道上で逮捕したような場合、その地点での身体捜索の実施にはむしろ不適当な事情があるケースが少なくない。

 したがって、逮捕現場付近の状況に照らし、逮捕の現場で捜索・差押をなすと、"鐶疂畆圓量祥静を侵害し、被逮捕者らの抵抗による混乱が生じ、または、8従貮婉瓩慮鯆未鯔犬欧襪それがあるといった事情のため、その場で直ちに捜索・差押えをすることが適当でないときには、速やかに被疑者を捜索・差押えに適する最寄の場所まで連行した上、これらの処分を実施することも、「逮捕の現場」における捜索・差押えと同視することができ、適法な処分と解することができる。

3. 本問の準現行犯逮捕は公道上でなされていることから、その場で捜索・差押をなすと、"鐶疂畆圓量祥世鮨害し、8従貮婉瓩慮鯆未鯔犬欧襪それがある。

 また、本件は、暴力団員同士の乱闘事件であることから、被逮捕者による抵抗にあい、又は仲間の暴力団員から奪還されるおそれがあるといえる。

 そして、逮捕から約1時間後であれば合理的な時間的範囲を明らかに逸脱しているとはいえず、また、自動車で約3キロメートル離れた警察署でも、被疑者の抵抗等で、速やかな移動ができなかった等の事情も十分考えられることから、逮捕現場の最寄りの警察署である限り、合理的な場所的範囲内にあるといえる。

 よって、本件捜索は_20条1項2号ヽ項に該当し適法である。

三.以上により、甲の準現行犯逮捕(212条2項)が適法になされていれば、それを前提に行われた甲の身体および携帯していたバッグを捜索することは許されると解する(220条1項2号ヽ項)。

以上

最判平8・1・29の判例が重要です。

一 いわゆる内ゲバ事件が発生したとの無線情報を受けて逃走犯人を警戒、検索中の警察官らが、犯行終了の約一時間ないし一時間四〇分後に、犯行場所からいずれも約四キロメートル離れた各地点で、それぞれ被疑者らを発見し、その挙動や着衣の汚れ等を見て職務質問のため停止するよう求めたところ、いずれの被疑者も逃げ出した上、腕に籠手(こて)を装着していたり、顔面に新しい傷跡が認められたなど判示の事実関係の下においては、被疑者らに対して行われた本件各逮捕は、刑訴法二一二条二項二号ないし四号に当たる者が罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるときにされたものであって、適法である。

二 逮捕した被疑者の身体又は所持品の捜索、差押えについては、逮捕現場付近の状況に照らし、被疑者の名誉等を害し、被疑者らの抵抗による混乱を生じ、又は現場付近の交通を妨げるおそれがあるなどの事情のため、その場で直ちに捜索、差押えを実施することが適当でないときは、速やかに被疑者を捜索、差押えの実施に適する最寄りの場所まで連行した上でこれらの処分を実施することも、刑訴法二二〇条一項二号にいう「逮捕の現場」における捜索、差押えと同視することができる。


そこには、ジェシカの法律のようにどのように多くの法律です。

三 被疑者らを逮捕した後、各逮捕の場所から約五〇〇メートルないし三キロメートル離れた警察署に連行した上でその装着品、所持品について行われた本件各差押えは、逮捕の場所が、被疑者の抵抗を抑えて差押えを実施するのに適当でない店舗裏搬入口付近や車両が通る危険性等もある道幅の狭い道路上であり、各逮捕現場付近で差押えを実施しようとすると被疑者らの抵抗による混乱を生ずるおそれがあったなどの事情のため、逮捕の後できる限り速やかに被疑者らを差押えに適する最寄りの場所である右警察署に連行した上で実施されたものであるなど判示の事実関係の下においては、刑訴法二二〇条一項二号による差押えとして適法である。

21歳になりました。

1週間後には試験なのでがんばります。

2007-11-13 00:44

プライバシー権(13条)について調べてみました。

個人情報がたからかに謳われる今日、プライバシー権も重要視されつつあります。

プライバシー権の内容

 「私生活をみだりに公開されない権利」というのが出発点。

 もっとも、今日においては、いろいろな定義がなされています。

 「自己の情報を自由にコントロールしうる権利」と、ダブスクではならいました。

プライバシー権に関わる判例

表現の自由(21条)との等価値的利益考量などで具体的に考えます。

(最判平6・2・8)

ある者の前科等にかかわる事実が著作物で実名を使用して公表された場合に、その者のその後の生活状況、当該刑事事件それ自体の歴史的又は社会的な意義その者の事件における当事者としての重要性、その者の社会的活動及びその影響力について、その著作物の目的、性格等に照らした実名使用の意義及び必要性を併せて判断し、右の前科等にかかわる事実を公表されない法的利益がこれを公表する理由に優越するときは、右の者は、その公表によって被った精神的苦痛の賠償を求めることができる。

(最判平14・9・24)

東京高裁は、プライバシーの内容について、「私人が、その意に反して、自らの私生活における精神的平穏を害するような事実を公表されることの利益」であるとし、「被控訴人がみだりに公開されることを欲せず、それが公開されると被控訴人に精神的苦痛を与える性質の私的生活上の事実が記述されること」が被控訴人のプライバシーを侵害すると述べた。

そして、プライバシーの侵害を成立させる表現の公然性の要件について、「知る者が多数おり、その者らにとって、当該表現が誰を指すのかが明らかであれば」、「事実が不特定多数の者が知り得る状態に置かれれば、それで公然性の要件は満たされる」とし、それ以外は第一審判決とほぼ同様の事実を認定した。

1.私生活上の利益であるか否か_.一般人の感受性を基準として、当該個人の立場に立った場合、その情報の公開をしてほしくないと思うかヽ.社会一般にまだ知られていない情報か等が判断基準になります。

プライバシーを侵害する行為でも、違法性が阻却される場合はあります。

最近の判例では、

東京高裁判平14・1・16、最判15・9・12

「1.当該個人情報の内容及び性質ならびにこれがプライバシーの権利として保護されるべき程度_.開示行為によりその個人が被った具体的な不利益の内容及び程度ヽ.開示の目的の正当性並びに開示の有用性及び必要性ヾ.開示の方法及び態様ゝ.当該個人情報の収集の目的と開示の目的との間の関連性の有無及び程度ゞ.その個人の同意を得なかったことがやむをえないと考えられるような事情の有無などの諸要素を総合考慮し、一般人の感受性を基準として、その個人の同意がなかったとしても当該個人情報の開示が社会通念上許容される場合に当たるかどうかを判断すべきである。」

他にも、

(大阪高判平8・9・27)

公文書の公開等に関する条例(昭和61年兵庫県条例第3号)に基づく自己の分娩に関する診療報酬明細書の公開請求に対し,県知事が同条例8条1号の非公開事由に該当するとしてした非公開決定につき,同号は,公文書に記載されている個人情報が本人以外の者に公開されることによって本人のプライバシーが侵害されるのを防止するという趣旨の規定と解されるから,公開を請求する者の個人情報を記載した公文書は同号所定の公文書には含まれないと解すべきであり,前記診療報酬明細書は,同号の公文書に該当しないとして,前記決定を取り消した事例。

プライバシーや名誉を害されたからといって、そうそう簡単に、民法や刑法上の責任は問われません。

表現の自由(21条)も尊重されるべきだからです。

(最判昭62・4・24「サンケイ新聞事件」)

一 新聞記事に取り上げられた者は、当該新聞紙を発行する者に対し、その記事の掲載により名誉殿損の不法行為が成立するかどうかとは無関係に、人格権又は条理を根拠として、右記事に対する自己の反論文を当該新聞紙に無修正かつ無料で掲載することを求めることはできない。二 新聞社が新聞紙上に掲載した甲政党の意見広告が、乙政党の社会的評価の低下を狙つたものであるが乙政党を批判・論評する内容のものであり、かつ、その記事中乙政党の綱領等の要約等が一部必ずしも妥当又は正確とはいえないとしても、右要約のための綱領等の引用文言自体は原文のままであり、要点を外したものといえないなど原判示の事実関係のもとでは、右広告の掲載は、その広告が公共の利害に関する事実にかかり専ら公益を図る目的� ��出たものであり、かつ、主要な点において真実の証明があつたものとして、名誉段損の不法行為となるものではない。

知る権利やアクセス権とも若干関係あります。

(最判平16・11・25)

放送事業者がした真実でない事項の放送により権利の侵害を受けた本人等は,放送事業者に対し,放送法4条1項の規定に基づく訂正又は取消しの放送を求める私法上の権利を有しない。

刑事訴訟法でもよく問題になってます。

カメラとビデオカメラでは、ビデオカメラの方が侵害の程度が高いです。

(最判昭44・12・24)京都府学連デモ事件

憲法13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しているのであつて、これは、国民の私生活上の自由が、警察権等の国家権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているものということができる。そして、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下「容ぼう等」という。)を撮影されない自由を有するものというべきである。これを肖像権と称するかどうかは別として、少なくとも、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、憲法13条の趣旨に反し、許されないものといわなければなら ない。しかしながら、個人の有する右自由も、国家権力の行使から無制限に保護されるわけでなく、公共の福祉のため必要のある場合には相当の制限を受けることは同条の規定に照らして明らかである。そして、犯罪を捜査することは、公共の福祉のため警察に与えられた国家作用の一つであり、警察にはこれを遂行すべき責務があるのであるから(警察法2条1項参照)、警察官が犯罪捜査の必要上写真を撮影する際、その対象の中に犯人のみならず第三者である個人の容ぼう等が含まれても、これが許容される場合がありうるものといわなければならない。

 そこで、その許容される限度について考察すると、身体の拘束を受けている被疑者の写真撮影を規定した刑訴法218条2項のような場合のほか、次のような場合には、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、警察官による個人の容ぼう等の撮影が許容されるものと解すべきである。すなわち、現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、しかも証拠保全の必要性および緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるときである。このような場合に行なわれる警察官による写真撮影は、その対象の中に、犯人の容ぼう等のほか、犯人の身辺または被写体とされた物件の近くにいたためこれを除外できない状況にある第三者である 個人の容ぼう等を含むことになつても、憲法13条、35条に違反しないものと解すべきである。

(最判昭63・4・1)山川テレビカメラ事件

確かにその承諾なくしてみだりにその容貌等を撮影されない自由は、いわゆるプライバシーの権利の1コロラリーとして憲法13条の保障するところというべきであるけれども、いかなる場合においても、犯罪捜査のための写真撮影が許容されないとする趣旨まで包含するものではないとするのが相当であって、当該現場において犯罪が発生する相当高度の蓋然性が認められる場合であり、あらかじめ証拠保全の手段・方法をとっておく、必要性及び緊急性があり、かつ、その撮影、録画が社会通念に照らして相当と認められる方法でもって行われる時には、現に犯罪が行われる時点以前から犯罪の発生が予測される場所を継続的、自動的に撮影、録画することも許されると解すべきである。

判例も覚えるのが多いと大変です。

2007-11-09 00:25

ロースクール受験のために司法試験の過去問をやってみたりしています。

民訴より刑訴が好きです。

甲に対する覚せい剤取締法違反被疑事件に関し、同人方を捜索場所とする捜索差押許可状の発付を受けた警察官が同人方に捜索に赴いたところ、玄関が施錠されていた。そこで、証拠が隠滅されることをおそれた警察官は、「宅配便です。」と声をかけ、甲にドアを開けさせた。警察官は、甲に同許可状を示して捜索に着手したところ、その場に居合わせた乙があわてて退出しようとしたため、これを制止した上、乙の上着のポケットに手を差し入れて捜索し、ビニール袋に入った覚せい剤を発見したので、これを差し押さえた。


 この警察官の行為は、適法か。(平成12年第1問)

一.警察官が「宅配便です」と偽ってドアを開けさせた行為について

1.令状による捜索差押えに際しては、処分を受ける者に対して当該令状を呈示する必要がある(222条1項 ̄10条)。

この点、令状の呈示時期は法文上明確ではないが、令状呈示を求める110条の趣旨は、捜索差押手続の公正を保持し、執行を受ける者の利益を尊重することにあると解されるため、執行の着手前に令状を提示すべきと解する。

では_22条1項の準用する111条1項は、捜索差押令状の執行に「必要な処分」をすることができるとしているが、本問のように令状呈示前に、令状呈示のために必要な措置をとることが含まれるか。

思うに、ドアが施錠されていた場合、令状呈示をするまでは何もなしえないとするのでは、捜査官が内部に入るまでに、証拠が隠滅され捜索が実効性のないものになる可能性があり、現場保存・動静の把握等の必要がある。

また、法は、捜索を受ける者に対しても、一定の受忍的協力態度に出ることを予定し、かつ、捜査官が処分を受ける者に直接面と向かい令状呈示できる状況にあることを前提としているものと解される。

よって、令状呈示前に、令状提示のために必要な措置をとることも、「必要な処分」にあたる。

2.そうだとしても、「宅配便です。」と欺罔してドアを開けさせた行為は「必要な処分」といえるか。

思うに ̄11条は、捜索を受ける者が受忍的協力態度をとらない場合において、社会通念上相当な措置を採ることを認めたものである。

よって、被処分者に、捜索に拒否的態度をとるおそれがあり、証拠隠滅の危険性があれば、社会通念上相当な措置をとることは「必要な処分」にあたると解する。

そして、薬物犯罪では、対象物件である薬物等を、廃棄等の手段により短時間で容易に隠滅することが可能であり、証拠隠滅の可能性が非常に高く、宅配便の配達を装って玄関ドアを開けさせる行為は、有形力を行使したものでも財産的損害を与えるものでもなく ̄11条の「錠をはずし」と比べても、平和裡に行われた至極穏当なものであって、手段方法において社会通念上相当といえる。

よって、本問のように宅配便を装ってドアを開けさせる行為も「必要な処分」として適法といえる。

二.現場に居合わせた第三者乙が退出しようとしたのを制止した行為について

この点、捜索差押令状の執行中は、何人に対してもその場所に出入りを禁止することができるとされている(222条1項 ̄12条1項)。

よって、当該行為は適法といえる。

三.現場に居合わせた第三者乙の上着のポケットに手を差し入れて捜索し、覚せい剤を差し押さえた行為について

1.甲方という場所に対する捜索差押許可状により、その場に居合わせた第三者乙の身体を捜索することができるかが問題となる。

思うに、捜索対象として場所と身体とは区別されており(222条1項 ̄02条_19条)、身体の捜索により侵害される利益(人格の尊厳)は、場所の捜索により侵害される利益(住居の平穏)より重大で、保護の必要も大きいといえる。

また、第三者の携帯物は、令状発布の際、捜索場所に当然伴うものとして令状裁判官の審査を受けたものとみなすことはできない。

よって、場所に対する捜索令状により、その場に居合わせた第三者の身体を捜索することは、原則として違法であると解する。

もっとも、居合わせた者が差押さえの目的物を身体に隠すのを目撃したような場合を考えれば、一切許されないというのも不合理であり、真実発見を害する。

そこで、捜索場所に居合わせた者が捜索の目的物を隠匿していると認めるに足りる合理的理由のあるような場合には、捜索令状を執行するための現場保存的措置たる「必要な処分」(222条1項・111条1項)として例外的に許されると解する。

2.本問では、乙はあわてて退出しようとしたに過ぎず、捜索の目的物を隠匿していると認めるに足りる合理的理由があるとは言えない。

よって、甲方を捜索場所とする捜索令状によって、乙の身体を捜索することはできない。

3.以上により、本問において、捜査官が乙の上着のポケットに手を入れて身体捜索をした行為は違法であり、したがって、そのあとに引き続いて行われた覚醒剤の差押行為も違法であると解する。

以上

ロースクール受験のために司法試験の過去問をやってみたりしています。

刑事手続において令状主義の例外にあたる場合を挙げ、それぞれについて説明を加えよ。(昭和57年第1問)

一.総論

令状主義とは、捜査機関が強制処分をするにあたっては、その処分に先立って、中立衡平な第三者たる裁判所の事前の司法審査を経た各別の令状がなければならないとする原則をいう(憲法33条ヽ5条、刑事訴訟法199条_07条_18条)。

この令状主義の趣旨は、捜査機関の権限濫用を防止し、被疑者の人権を保障することにある。

ただし、実体的真実発見(1条)のため令状主義の例外がある。以下順に検討していく。

二.逮捕について

1.原則、逮捕状が要求される(199条)。

2.例外

仝醜堡搬疂瓠複横隠仮鬘厩燹横隠馨髻

現に罪を行い、または現に罪を行い終わったものを現行犯人といい、誰でもこれを令状なしに逮捕できる。

その根拠は、ア 犯罪の実行が明白で、司法判断を経なくても誤認逮捕のおそれがなく(現認性)、イ 逮捕状の発布を待っていたのでは犯人が逃走し、または証拠を隠滅するおそれが高く、令状請求の時間的余裕がない(緊急性)ことにある。

よって、現行犯逮捕の要件として、ア 犯罪及び犯人の明白性、イ 犯罪の現行性・時間的接着性の明白性、ウ 逮捕の必要性が必要となる。

⊇犖醜堡搬疂瓠複横隠仮鬘温燹

現行犯とみなされる者の逮捕は令状なくしても許される。

もっとも、憲法33条は、令状主義の例外を現行犯逮捕のみと規定していることから、準現行犯を定めた212条2項は違憲ではないかが問題となる。

思うに、準現行犯は旧法以来の概念で憲法はこれを前提にしたと考えられ、また、準現行犯は犯行後「間がないと明らかに認められるとき」というように要件を厳格に絞っているので、令状主義の精神に反するとまではいえない。

よって、「間がない」という時間的要件を厳格に解釈し、運用する限りは違憲とはいえないと解する。

6杁淆疂瓠複横隠鮎髻

ア 一定の重罪事件で、イ 高度の嫌疑があり、ウ 緊急性が認められるという3つの用件がある場合に、これらの理由を告げて無令状で逮捕することができる。

もっとも、憲法33条は、令状主義の例外を現行犯逮捕のみと規定していることから、緊急逮捕を定めた210条は違憲ではないかが問題となる。

思うに、緊急逮捕は、実質的に、社会治安・真実発見の必要性から、緊急状況下での重大犯罪である場合に限って、厳格な要件のもとで認められるものである。

また、逮捕後直ちに令状を得ることが必要とされ、事後的に逮捕の理由・必要性、緊急逮捕の適法性が判断される。

よって、きわめて厳格な要件のもとで、緊急逮捕は憲法33条に反しないと解する。

三.捜索・差押について

1.原則、捜索・差押令状が要求される(218条、憲法35条)。

2.例外として、逮捕に伴う捜索・差押が許される(220条)。

では、逮捕に伴う無令状捜索・差押が認められる根拠はなにか。

この点、逮捕の現場には証拠の存在する蓋然性が高いので、合理的な証拠収集手段として認められるとする見解もある。

しかし、憲法35条が捜索・差押に令状を要求した趣旨は、過去の経験に鑑み、捜査機関の権限濫用、一般的・探索的な捜査を司法的に抑制するためである。

そうだとすれば、逮捕に伴う捜索・差押は、逮捕を完遂させるために、被逮捕者の抵抗を抑圧し、逃亡を防止するためと同時に、現場の証拠の破壊を防止するための緊急の必要性から、例外的に認められたと解すべきである。

とすると、「逮捕する場合」とは、逮捕着手後もしくは被疑者が現在し逮捕直前にあることを指し、「逮捕の現場」とは、被疑者の身辺、すなわち身体または直接の支配下にある場所に限定すべきであると解すべきである。

もっとも、処分が被処分者の身体または所持品に対する捜索、差押えである場合においては、逮捕現場付近の状況に照らし、被処分者の名誉等を害し、被処分者らの抵抗による混乱を生じ、または現場付近の交通を妨げるおそれがあるといった事情のため、その場で直ちに捜索差押えを実施することが適当でないときには、速やかに被処分者を捜索差押えの実施に適する最寄の場所まで連行した上、これらの処分を実施することも「逮捕の現場」における捜索差押えと同視しうることから、適法な処分であると解する。

3.その他明文上の例外

被逮捕者の指紋等の採取(218条2項)、裁判所がなす公判廷内における捜索・差押(106条)、裁判所がなす検証(128条)、凶器の捜検(警職法2条4項)等がある。

4.では、令状主義の例外として、緊急捜索・差押は認められるか。

確かに、緊急事態下、実体的真実発見のためには、無令状捜索・差押の必要性は認められる。

しかし、捜索・差押は対象者の人権を制約するものである以上、無令状について法律の根拠が必要である。

この点、緊急逮捕には明文の規定がある(210条)のに対し、緊急捜索・差押を許容する明文の規定はない。

よって、緊急捜索・差押は認められない。

以上

(補足)


 たとえば、殺人事件で逮捕した被疑者が覚せい剤を所持していた場合、この逮捕を根拠として無令状で覚せい剤を差し押さえることはできず、覚せい剤不法所持で現行犯逮捕して、これに伴い、覚せい剤を差し押さえるか(220条)、裁判官から差押え許可上の発付を得て差押えるか、Gぐ嫩鷭个魑瓩瓩椴涼屐複横横云髻砲垢襪靴ないです。



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